光と影の向こうへ——yusho kobayashiの“物語を着る”創作
Olivia Owen
yusho kobayashi(小林裕翔)は、服を「着るもの」以上の存在として扱うデザイナーだ。2019年に立ち上げた同名のブランドでは、東京のアトリエで手作業による制作を軸に、日常と現代アートの色、そして物語性の強いテーマを形にしている。
デビューは2020年の春夏コレクション(東京)。文学系の学びから、ロンドンのセント・マーチンズでレディースウェアのBAを修了した経歴も目を引く。ショーやコラボレーションを通じ、服が持つ“感情の記録”を更新し続けている。
| 項目 | 要点 |
|---|---|
| 名前 | yusho kobayashi(小林裕翔) |
| ブランド開始 | 2019年:同名ラベル「yushokobayashi」 |
| 教育 | 立命館大学で文学系の学位→中央セント・マーチンズでファッションデザイン(レディース)BA |
| 最初のコレクション | 東京でSpring/Summer 2020として始動 |
| 制作の特徴 | 東京のアトリエで手作業(ハンドクラフト)中心 |
| 活動の広がり | 国内外のファッションイベント、音楽アーティストとの協業も |
yusho kobayashiとは:服が“物語”になる理由
yusho kobayashiの表現は、見た目の美しさだけで終わらない。服そのものに、記憶のような温度や、言い切れない感情の揺れを残すタイプのデザインだ。本人の活動領域はファッションに留まらず、映画、文章、ドローイング、空間設計へと広がる。だからコレクションは、単なる衣服の提案というより「世界観の設計」に近い。
ブランド名がそのまま人の名前にも聞こえるのは偶然ではない。2019年に立ち上げた「yushokobayashi」は、作品の中心に“創作の手触り”を置く。大量生産のスピードではなく、制作の時間が表情を決める。結果として、同じディテールでも色の出方が微妙に変わり、着た瞬間に「誰かの気分」ではなく「あなたの時間」に寄り添ってくる。
小林裕翔の経歴:文学からセント・マーチンズへ
yusho kobayashi(小林裕翔)は、まず文学の視点を身につけている。立命館大学で文学系の学位を得た後、中央セント・マーチンズ(ロンドン)でファッションデザイン(レディースウェア)のBAを修了した。ここが、他のデザイナーと似ているようで違う点だ。布を扱う技術だけでなく、「言葉で組み立てる力」が根にある。
ファッションは説明しすぎると陳腐になる。逆に、言葉の骨格があると、説明しないのに意味が伝わる。コレクションのテーマが、象徴的で、少し哀しみを含んで見えるのは、この背景が影響している可能性が高い。服が語るのは、筋書きというより感情の筋肉だ。
ロンドン教育が与えた“構造の考え方”
セント・マーチンズのような環境では、デザインを「形」と「コンセプト」の両面で検証する。yusho kobayashiの作品にも、派手さのための装飾ではなく、素材と色の組み合わせで意味を立ち上げる姿勢が見える。単に“かわいい”でも“かっこいい”でもなく、見る側の想像力を動かす余白が残っている。
2019年の立ち上げと2020年デビュー:東京の春夏が最初の声
yusho kobayashiは2019年に自身の同名ブランドを開始し、最初のコレクションは2020年のSpring/Summerとして東京で発表した。デビューの時点で既に、手仕事の制作と、日常から引き寄せる素材感、そして現代アートの色彩への関心が軸にあった。
ファッションの世界では、最初の年にどれだけ強い個性を出せるかが勝負になる。yusho kobayashiは、最初から“作品の手触り”を前に出した。技術の主張より、時間の主張。そうした態度が、ファンの記憶に残りやすい。
“東京発”であることの意味
東京は、トレンドの速度が速い街だ。その中で、制作を急がないスタイルを貫くと、作品の温度が上がる。忙しさとは逆方向に進むデザインは、時代の熱に飲まれにくい。結果として、季節が巡っても「同じ服が違う表情に見える」現象が起きやすい。
デザイン哲学:ハンドクラフト、色、日常、そして“複数の表現”
yusho kobayashiの制作には、はっきりしたルールがある。東京のアトリエで、各アイテムを手作業で生産すること。これは単なるこだわりの看板ではなく、作品の質感を決める根拠になる。手で進める工程が多ければ、完成までに微調整が入りやすい。布の反応を見ながら、意味の置き方を変えられる。
素材と色にも方向性がある。日常の出来事から着想を得つつ、現代アートが示すような“見え方の揺れ”を取り込む。日常は再現できない。アートは説明しきれない。だから、その中間にある感覚を服に移す。着る人にとっては、見慣れた毎日に少しだけ異物感が加わる瞬間になる。
映画・文章・ドローイングがコレクションを裏打ちする
yusho kobayashiは服以外のメディアにも関わる。映画、文章、ドローイング、空間デザイン。ここが、コレクションの見方を変えるポイントだ。服は単体で完結しない。背景にある構造(物語、視線の誘導、余白の量)を想像させる仕掛けとして働く。
象徴的で、少しメランコリーなテーマが繰り返し現れるのも、その延長線にある。感情の説明ではなく、感情の発生条件を服に埋め込むような手つきだ。
ショーと国際的な露出:東京ファッションウィークから広がる接点
yusho kobayashiの活動は、東京に閉じていない。東京のファッションイベントでのショーを重ね、海外側の文脈にも接続している。日本国内ではTokyo Fashion Weekでの発表が知られ、国際的な流れに連なる形として、Rakuten Fashion Week 2027のようなイベント名が挙がることもある。
ここで重要なのは、海外の舞台に出ること自体より、どんな“翻訳のされ方”をするかだ。同じ服でも、言語や文化が変わると意味の受け取り方が変わる。yusho kobayashiの作品は、説明を押し付けないタイプなので、受け手側が自分の経験を重ねやすい。その性質が、国境を越えて反応を生みやすい。
写真と動画が担う“温度の共有”
服の温度は、写真や動画で完全には再現できない。ただしyusho kobayashiは、映像(YouTubeなど)とSNSで制作の空気を共有することで、その距離を縮めている。着用者や閲覧者が、作品の背後にある手触りを想像しやすくなる。
音楽との協業:J-POPとK-POPが“衣装の意味”を広げる
yusho kobayashiは音楽アーティストとのコラボレーションでも注目を集めている。J-ポップ側ではFruits Zipper、NewJeansといった名前が挙がり、K-POP側ではIllitのようなアーティストとの接点も語られている。衣装は、ステージの物語を加速させる装置だ。だからコラボが増えるほど、服の役割は「日常のファッション」から「感情の演出」へ移動していく。
ステージで衣装が果たすのは、単なる見栄えではない。光の当たり方、動きの軌道、視線が集まる位置。さらに曲のムードが上書きされる瞬間。yusho kobayashiのように、素材や色、象徴性を設計できるデザイナーは、音楽の文脈で新しい解釈が生まれる。
“着る物語”がライブで立ち上がる
ライブでは時間が流れる。だから服の意味も固定されない。ある角度では柔らかく見え、別の角度では硬質になる。こうした変化が、パフォーマンスのドラマと結びつきやすい。結果として、同じ衣装が観客に違う記憶として残る。
ファンが追う制作の痕跡:公式サイトとSNS、見られる場所
yusho kobayashiを知る入口は複数ある。公式サイトは「yushokobayashi.com」。Instagramは「@yushokobayashi」で、作品の更新状況や制作の文脈に近づける。YouTubeは「@ushow075」で、映像を通じてデザイナーの発想の速度感を追える。
こうした導線があると、コレクションを見るだけの体験から、制作の背景を追う体験へ変わる。たとえば、どんなテーマを選んだのか、素材に何を期待したのか、撮影や構図にどんな意図があるのか。読者が“推測”ではなく“確認”できる範囲が増えるほど、作品への理解は深くなる。
yusho kobayashiが次に向かう場所:手仕事の価値は加速する
yusho kobayashiの強みは、トレンドの波に飲まれるより先に、創作のルールを固定している点にある。2019年の立ち上げから、2020年の春夏デビュー、そしてショーや協業へと進む中でも、東京のアトリエでの手作業という核は変わっていない。核があるから、外側の表現が増えてもブレにくい。
これからの注目点は、服がどう“物語を運ぶ器”として発展していくかだ。映画や文章、空間設計を含む多面的な活動は、今後さらにコレクションを体験型に近づける可能性がある。衣装だけでなく、世界観そのものを着せるような方向に進むなら、yusho kobayashiはファッションの枠を越えて記録されていく。
Frequently Asked Questions
yusho kobayashiのブランドはいつ始まりましたか?
yusho kobayashi(小林裕翔)は2019年に自身の同名ブランド「yushokobayashi」を立ち上げました。
最初のコレクションはいつ発表されましたか?
最初のコレクションは2020年のSpring/Summerとして東京で発表されたとされています。
yusho kobayashiの制作スタイルの特徴は?
東京のアトリエで、各アイテムを手作業中心(ハンドクラフト)で生産する点が特徴です。
どんな教育経歴がありますか?
立命館大学で文学系の学位を修めた後、中央セント・マーチンズ(ロンドン)でファッションデザイン(レディースウェア)のBAを修了しています。
公式サイトやSNSはどこで見られますか?
公式サイトは「https://yushokobayashi.com」、Instagramは「@yushokobayashi」、YouTubeは「@ushow075」です。